稲水器 あまてらす 古賀 哲郎氏

稲水器 あまてらす 古賀哲郎氏

心を潤す日本酒業界の光になる…「稲水器 あまてらす」の『古賀 哲郎氏』にお話を伺いました。

あまてらす店舗入り口

池袋駅からは徒歩8分程と少し歩くが1Fで大通りにも面していて分かりやすい。


あまてらす店内カウンター

オーナー手作りの温かみのあるカウンターで戴く丁寧なお料理とお酒はまた格別だ。

■日本酒が好きになったきっかけは?
大学時代にまかない目当てでアルバイトした居酒屋さんが、種類を問わず沢山のお酒を扱っていました。
そこで、お酒のことを勉強する機会が必然としてあったおかげでアルコール全般に興味を持ち、最終的に日本酒に辿りつきました。
その後、もっと日本酒の勉強をしたいと思って呑みに行っていたお店の店長さんに「串駒」を紹介してもらい社員として入り、独立するまでの7年間お世話になりました。

■29歳で独立を決心されたきっかけは?
30歳までに独立したいという思いはありました。ただ、今のようなこういう独立ではなくて、
そのまま串駒の屋号で2号店かなと考えていたんです。
そんなある日、串駒の常連さんが外国へ旅立つ時に串駒創業当時からのお客さんが集まって送る会を開いたんです。
その時に「時が経ち、それぞれの道があるけれど此処に集まればいつものお酒と変わらない笑顔がある」
それがすごくいいなぁと思って。そういう場所を自分の手で作りたいと思って、その1ヶ月後には独立への決断をしました。

■お店に置いているお酒にはどのようなこだわりがありますか?
ここにおいているお酒の蔵元にはすべて行って、どのような場所で、どのような想いで造り、どのような味か、すべて理解しているものを置いています。お客さんに心地よくお酒を飲んでもらおうと考えると、蔵に行ってお店に置くお酒をきちんと選ぶことは、必然であり、そうあるべきだと考えています。

あまてらす 本日のお通し

本日のお通し(700円)は「春菊と秋の実の白和え(左)」と「南部せんべい汁の椀」。


あまてらす 熊本直送の馬刺し4種盛り

熊本直送の馬刺し4種盛り(1500円)、すりおろし生姜と共にカラシが添えられている。カラシで食べる馬刺しも旨い!

■「東洋美人」と「而今(じこん)」を2枚看板としてかかげられていますね。
すべての蔵に行ってすべてのお酒に思い入れがあるんですが、その中でもこの2つは僕にとっては特別な蔵元です。
「東洋美人」は、経営者としても醸造家としても秀でているし、バランスの取れた考え方をお持ちで、業界に関してどういう形でやれば貢献できるかも考えているという次の時代のスタンダードになるべき蔵だと思っています。

「而今」はどちらかというと職人肌タイプで、すごくこだわりをもって造ってらっしゃる蔵です。
実は僕は日本酒の味は二の次なんです。甲州屋酒店の店主である兒玉光久さんという方の言葉で
「人に惚れ、蔵元に惚れ、酒に惚れ」と自ら蔵元に足を運び、まだ知られていないお酒を伝えることに、苦悩と共にその生涯をかけた方がいるのですが、まさにその通りだなと。
地酒のいいところでも、悪いところでもあるんですが毎年味が違う。
今美味しいものだけを追い求めているわけではなく、自分が惚れ込んだ造り手が作っているお酒のすべて受け入れる。
そういう意味で「東洋美人」と「而今」は本当に造り手に惚れた酒です。

3年程前「而今」がすごく甘味の強い年があって、世間的には「ダレてる」評価。
実はその年の造りが終わったときに、造り手さんの結婚が決まってたんです。だから、彼女のことを考えながら作っていたんだろうと。この甘さはラブの甘さ。
本当に造っている人の想いが出るんですよ。味だけで捉えてる人は甘いで終わっちゃう。でも、その人がどうゆう想いで造っているのかが感じられるなんて、すごいいいお酒じゃないですか!
今年のお酒が少し甘いなら、僕ら飲食店は、お料理に少し甘味を加えて、お酒と合わせた時にお酒がキリっと感じるようにそれに合うお料理を作ればいい。
造り酒屋と付き合うってそういうことだと思うんですよね。

■今後の目標は?
どうも世間的には日本酒は難しいっていう印象があると思うんですが、学校じゃないので、日本酒の薀蓄を教える必要はなくて。よく解らないけど楽しくて美味しい飲み物として身近なものであってほしいし、そうあるべきお酒だと思うんです。日本人が日本酒を飲む利点のひとつは地域文化、歴史と劇的に繋がっていること、そしてその景色や背景を想像することができる。この想像がより日本酒の味わいを拡げるんですよね。
本来、それを伝えるべきが飲食店であるし、日本酒に興味がある人には、提供できる知識を持って間口を広げてあげる。
お酒でただ酔うだけではなく人生を伴にする一杯、座右の銘ならぬ「座右の酒」を持ってもらいたい。
そういう一杯があるのとないのでは、人生の豊かさが変わると思う。飲食業って、人を潤す職業だと思ってるので、その人にとっての座右の酒を見つけるお手伝いをしたいというのかな。心を潤すお手伝いをしたいですね。


カウンター越しにその日の仕込みをする古賀氏の姿は、凛とした意思と強さを感じる。
それとは対照的に繊細で美しく優しい味の料理の数々。お通しが美味しいお店は客の触手が伸びる。
造ってる人が想いを込めればきちっと通じると思う。「稲」が食べ物、「水」が飲み物、「器」がうつわを意味し、あまてらすは太陽の神である「天照大神(あまてらすおおみかみ)」から、日本酒業界の太陽になれるよう名づけたと語る古賀氏の想いがひしひしと伝わってくる「稲水器 あまてらす」の存在は、日本酒業界のみならず、飲食業界を照らす光となるのかもしれない。
(文と写真:黒田みいこ)

古賀哲郎氏

【プロフィール】古賀 哲郎氏

日本酒の勉強をするために22歳で池袋「串駒」に入社、入社3年目からはお店の殆どを任されるようになり、店長として7年間勤め上げる。29歳で独立。日本酒、料理、器、そのすべてにおいてこだわりを持って店造りをする若き経営者は、日本酒業界に光を注ぐ太陽になるべく日々精進し続ける。

【店舗情報】 稲水器 あまてらす

住所:
東京都豊島区東池袋2-62-10 池袋5thビル1F
アクセス:
池袋駅から715m 徒歩8分ほど
電話:
03-6912-9191
営業時間:
[月~木]18:00~24:00 [金・土・祝前]18:00~翌3:00
定休日:
無休
席数:
24席
客単価:
4000~5000円
開業資金:
約1000万円